かごやざるは、もともと農家の人たちが冬の農閑期の手仕事として作っていたものでした。
作物を入れるかご、調理用のざるなど、自分たちの暮らしで必要なものを編んでいたのがはじまり。
いまは、職人としてかご編みをしている人が多くいますが、彼らはたいていが高齢で、どこの工房も後継者の不足に困っています。
山へ入り蔓(ツル)をとり、皮をはぎ、それをかご編み用に加工し、ひとつひとつ手で編む作業は大変手間暇のかかるものだからです。
手仕事が途絶えてしまうことを心配した「かごや」は、日本流のかごづくりを伝えるため、30年以上、現地に根をおろし職人育成に励んでいます。
場所は、美しい竹細工、繊細な刺しゅうなど、きめ細かな工芸品が昔から盛んにつくられ、その技術が残っている中国・福建省。
いまでは、日本のかご職人も驚くほどの経験を重ねた工房の職人たちから、日本の職人たちへの技術協力もしています。
かご編み職人というと、おじいさん、おばあさんを想像しますか? 中国の工房の職人さんたちは比較的若め。
みな手先が器用で、細かな作業が大得意。十数人が集い、素早く手を動かし、ていねいにかごを編上げている風景は圧巻。緊張感漂うものづくりの現場です。
でも、お昼休みはムード一変。料理名人が台所に立ち、おいしい昼ご飯を振る舞うこともあり、アットホームな雰囲気。時間が余ったら、編み物をする人も…。編むことが、生活に息づいているのですね。